足と靴と健康を考えるサイト

症状と靴のご案内


歩くということは、体を移動させるという機能面の他に、筋力を丈夫にしたり血液循環を良くすることなど、健康を保つうえでの大事な役割を果たしています。
私たちの血液は、心臓というポンプによって全身にくまなく送られて、細胞分裂に必要な酸素と栄養素を補給し、炭酸ガスと老廃物を回収し、また心臓に戻ってくる循環運動を繰り返しています。



ところが、足は心臓から遠く、位置もいちばん下にあるため、心臓のポンプの圧力だけでは、血液を送りこんだり、戻すことができにくく、いろいろな障害の原因となります。これを助けるのが「歩行」の役割です。
腰から下には全筋肉の3分の2があり、その筋肉に静脈血の毛細血管がへばりついています。足は歩く動作によって、足裏や下肢の筋肉を、繰り返し伸縮させます。
この筋肉の伸縮にともなって、筋肉に密着している血管自体の伸縮運動が活発になり、血行を良くします。この心臓に似たポンプ作用をすることが「足は第二の心臓」といわれる理由です。
また、足の筋肉や血管、神経は密接に頭脳や内臓諸器官とつながっており、歩くことによってこれを刺激し健康を増進させます。

@指で地面を蹴ったとき→脚の動脈血の毛細血管が広がり動脈血液は下に流れる。
Aカカトで着地したとき→脚の筋肉が収縮し静脈血の毛細血管が筋肉に絞られて静脈血を上に押し上げる。


歩行の効果を高めるためには、足の健康がとても大事であり、靴が重視されるところです。
足の力が衰えたり、足のトラブルを抱え込んでしまうと、本来の機能が低下し、歩き方が悪くなり、さらに足を衰えさせる悪循環に陥ってしまいます。
その結果、腰痛や肩こり・頭痛をはじめ心臓疾患、肥満、糖尿病、血行障害などの全身的な病気の誘因にもなります。

◆正しい歩き方
良い姿勢、正しい歩き方は健康の基本です。
良い歩き方とは、背筋を伸ばして胸を張り、腕を大きく振りながら、歩幅を広くとって、速足でリズミカルに歩くことです。
着地するときはかかとの後方から着地し、重心が滑らかに爪先へ移動し、母趾を主とする各指の爪先で地面を蹴って前へ進み、同時にもう一方の足をかかとから踏み出します。
このとき、爪先の蹴りが不十分ですと、他方の足のかかと後方からの正しい着地ができません。
つまり、アキレス腱が十分に伸びきらないままで、足が着地してしまうことになります。
これでは、足関節の動きが悪くなり、アキレス腱が伸ばせないために、その部分の筋肉が硬化することになります。これは、ふくらはぎの血液循環も悪くします。
正しい位置で爪先で蹴り、踏み出すことができれば上体も十分に伸び、足、膝、股の各関節が伸びます。
関節は曲げっぱなしとか、伸ばしっきりのままでいますと、老廃物が滞積しやすくなり関節の老化を早めることになります。
歩行時に、かかとにばかり重心を置き、爪先に重心が移動しないと、各関節は伸ばされず、曲がったままで歩いていることになります。そのような人は足の運びがちょこまかと急ぎ足のようになり、腰が曲がり腹には力がなくなって硬化してしまいます。爪先が十分に使われていますと、大脳への刺激反射も良く、歩くことによって頭がすっきりして爽快な気分になります。

良い歩き方

歩くことがいかに健康に良くても、その歩行運動による血液循環のポンプ作用を阻害するような靴を履いていたのではなんにもなりません。
ゆるすぎる靴ではポンプ作用を促進させませんし、きつすぎると靴の中で足が楽に形を変えることができず、しかも血管を締め付けることになって、かえって血液の循環を妨げることになってしまいます。
足の役割を発揮させるためには、歩くたびに足の各部分を適当に圧したり放したりするような、足に合った靴を履くことが大前提になるわけです。